米国債 2008 10 26
アメリカも、日本も、株価の暴落に関心が集まっていますが、
私は、そんなに心配していません。
株価は、投資家が冷静になれば、いつか戻るでしょう。
PERやPBRという指標がありますから、
投資家が冷静になれば、「売られすぎ、行き過ぎた」と思うでしょう。
最大の問題は、株価ではなく、米国債であると思います。
現状では、いつ債券価格の暴落(長期金利の急騰)が起きても、
不思議ではありません。
こうした問題については、私は、2004年ごろから、
折に触れて、このサイトで取り上げてきました。
暴落というと、多くの人は、株価の暴落を連想するでしょうが、
本当に怖いのは、債券価格の暴落です。
この点についても、2004年ごろから、何回も指摘してきました。
米国債については、国際協力が必要かもしれません。
国債 government bond 2005 11 18
よく、このようなことを聞かれます。
「金利が急上昇すると、国債価格が急落すると言われるが、なぜか」
これについて、簡単に説明しましょう。
わかりやすく書きますので、実際とは異なることがありますので、注意してください。
国債とは、基本的に、満期まで所有するのが、原則です。
だから、そういう意味では、国債価格は、気にする必要はないのです。
ところが、国債価格を気にしなければならない状況があるのです。
それは、途中換金をする場合です。
(つまり、現金が必要になった場合と、国債を投機として考えた場合です)。
もうひとつは、所有している国債を時価評価する場合です。
さて、国債価格という言葉が出ていますが、
「国債に価格があるのか」という疑問があると思います。
本当に、あります。
概ね100円で、利率は、基本的に満期まで固定です。
この「利率は満期まで固定」というのが、くせ者です。
だから、そこで、国債価格が重要になってくるのです。
新規発行の国債の利率は、経済情勢によって、どんどん変っていくでしょう。
ところが、既存(既発)の国債の利率は、満期まで固定となっています。
そこで、既発の国債を売買する時は、国債価格で、調整するのです。
たとえば、あなたが、利率1.5%の国債を持っていたとします。
そして、急に現金が必要になったとします。
現在、金融機関では、利率2.5%の国債を発売していると仮定します。
こういう条件下では、誰も、
あなたが持っている「利率1.5%の国債」を買ってくれないでしょう。
なぜならば、金融機関に行けば、「利率2.5%」の国債を売っているからです。
そこで、こういう場合は、国債価格で、調整するのです。
新規発行された時は、約100円だった国債を、
95円ぐらいにすれば、現在の利率よりも低い国債でも、誰か買ってくれるでしょう。
このように、利率が上がれば(1.5%から2.5%)、
国債価格は下落するのです(100円から95円)。
もちろん、ここで言う「国債」とは、普通の国債のことです。
「個人向け国債」のことではありませんので、注意してください。
普通の国債は、通常、機関投資家が主役ですので、
数億円や数十億円の取引となるでしょう。
そういうわけで、国債価格が、数円でも下落すると、影響が大きいのです。
(100円では、売っていませんので、注意してください)。
ところで、今までの説明は、文科系的な説明です。
これでは、理科系の人は、わかったような、わからないような感じがするでしょう。
そこで、数式を書いておきます。